01.しびれの原因
手足のしびれにはいくつかの原因が考えられ、大まかには次のようなものがあります。
①首や腰など神経の根元が原因のしびれ(ヘルニア、脊柱管狭窄症、後縦靭帯骨化症など)
②手足の血流が原因のしびれ(寒い日に手足がしびれる、バージャー氏病、脊柱管狭窄症など)
③手足につながる末梢の神経が原因のしびれ(正座で足がしびれる、梨状筋症候群、手根管症候群など)
④脳の神経の障害によるしびれ(脳梗塞後のしびれなど)
⑤不安や自律神経の乱れが原因のしびれ(緊張して手足がしびれる、天気が悪いとしびれる)
脊柱管狭窄症のように同じ病名でも原因が2つにまたがっていることがあり、その時々でしびれの出方が変わってみたりあちこちに別の場所に症状を出したりするのがしびれの厄介なところです。
知り合いと同じ症状なのに原因が全く違うということもあれば、全く違う症状なのに同じ病名を言われたということもあります。
いずれにしても原因がどこにあるのかを特定しながら改善を目指さないと効果が出ません。
02.しびれの種類
しびれの症状は人によって様々です。感覚が鈍くなる、チリチリと電気が走るように感じる、力が入らない、力が入りすぎてこわばる、こういった症状が出現します。
これらの症状は大きく2つに分けられます。
・本来あるものがなくなる
触れた感覚や動かした感覚があるはずなのに感じない(感覚鈍麻)
力が入らない(脱力)
・本来はないものが出てくる
何もしていないのにチリチリとした電気のような感覚を感じる(電撃痛、放散痛、)
足にヒリヒリとした熱さのような感覚がある(灼熱感)
何もしていないのに筋肉がつる、強張る(過緊張、痙縮)
あるべきものがないことで神経の交通がうまくいっていないことがわかり、ないものが出てきているということからは神経の調整がうまくいっていないことがわかります。
同じしびれであっても、
・どんな時に
・どんな感じがして
・その時は何をしていたか
これを伝えるだけでも、解決のヒントになります。
03.しびれは治るのか
病院で医師に聞いたとき、最も言葉を濁される質問が「このしびれは治りますか?」です。
ほとんどのケースで
「うーん、やってみないとわからないけど、しびれは残ることもあります」
と答えが返ってくると思います。
病院は不確定なことをはっきり言えないところなので、よほど原因がはっきりしていて、短期的な症状で、軽い症状でなければ、「治ります」とは言いません。
しびれが治るかどうか不確定なのは、原因が様々なうえに、症状によっては治療法がはっきりしていないからです。
脳や自律神経の乱れによるしびれの場合は何が原因かはっきりしないので、そもそもはっきりとした治療法がないというのもあります。
逆に原因があちこちにあって、どこを改善させれば良いか先の効果が読めないということもあります。
たとえば、腰のヘルニアなどは一見すると原因がはっきりしていますが、実際は姿勢不良で腰にヘルニアを起こしたのと同時に、姿勢不良がお尻や太ももでも神経を圧迫したりするので、手術をしてヘルニアを取ってしまっても、しびれは相変わらず残ってしまうことがあります。(もちろん、逆に劇的に改善する例もあります)
そんな背景があるので、「あなたのしびれは必ず治ります!」や「どんなしびれも一発で治します!」という整体師の売り文句はかなり誇張した極端な表現ですので、信用するのは自由ですが、おすすめはしていません。
話を戻して、ここで重要なのが、答えの続きにあります。
「治るかどうか分かりません。とりあえずこのまま様子をみましょう」なのか
「治るかどうか分かりません、ですが、できる限りのことを色々試してみましょう」なのかです
「治るかどうか分かりません」の答えの続き、「じゃあどうするか?」
体を温めたり、適度な運動をすることで血流を改善させる
手足に刺激を与えることで神経の興奮を落ち着かせる
姿勢を改善させることで神経の負担を減らす
筋肉や神経の柔軟性を改善させる
普段使っている靴やイスを調整する
etc…
しびれが治るかどうかはっきりしないとしても、改善のためにできることはたくさんあります。
原因がどこにあって、何をしたら楽になって、何をすれば悪化させる可能性があるのか、ヒアリングや各種検査で分かったことから仮説を立てて体の反応を見ながら対処していくことが重要です。
しびれは治るかどうか分からないが、改善するためにやってみることはたくさんある。
これがフィジオの回答です。
04.しびれを改善させるために必要な情報
しびれというと
どこがしびれるか?
どんなしびれがあるか?
何か病気をしたことがあるか?
を聞くのが一般的ですが、それでは何が原因かがぼんやりとわかるだけで解決のための情報としては不十分です。
しびれを解決させるためには
何か楽になることはあるか
しびれが悪化することはあるか
普通の人より多くやっていることはないか
どんな姿勢で立っているか
どんな姿勢で座っているか
どんな歩き方か
普段の生活は床かテーブルか?
寝ている時の姿勢や起きた時の姿勢
ストレッチをやっていないか?
など、普段の生活にしびれの原因がないかヒアリングや姿勢チェック、神経のストレッチテストでみていきます。
特に原因がはっきりしないしびれの場合、普段の何気ない動作が原因であったりしびれを改善しようと思ってやっていたストレッチが逆効果だったりします。
改善のためには、「しびれがどのくらい強いか」よりも「何が原因でしびれが出ているか」が重要です。
05.しびれの改善のためにできること
施術
腰や首の神経、手足の末梢の神経が原因で起こるしびれには施術を行います。
神経は体の電気信号を伝える器官です。この神経が圧迫されたり、無理に伸ばされたりしていると痛みやしびれが出てきます。(脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、頸椎症性神経根症など)
神経を圧迫しないように関節や筋肉の動きを改善させ、無理に伸ばされたりしないように神経の動きを改善させる手技を行います。
運動
初期には施術にて動きを改善させた神経をスムースに動かすために運動療法を行います。また、自律神経の乱れで出てくるしびれには自律神経を整えるような全身の軽運動を行います。
中長期ではしびれの原因となった姿勢不良を改善させる専門的な姿勢トレーニングを行い、筋肉の働きや関節の柔軟性を改善させることで腰や首への負担を減らして改善や予防につなげていきます。
生活の工夫
日常生活で気づかないうちにしびれの原因となっていることは意外と多いです。
例えば
体に合わないイスと座り方
休めの姿勢
くるぶしの神経を圧迫する靴(スキーブーツやトウシューズなど)
しびれを強める姿勢
手首や指の細かい作業
などが挙げられます。
こういった原因を一つずつ考えて、代わりの方法や代わりの物に変えていくことでやがて症状が改善、予防できます。
脳神経が原因のしびれのためにできること
脳神経が原因のしびれは個人によって症状が異なりますので、個別に対応させていただいております。
過去には
カイロを使って温めることで徐々に改善したケース
手足のマッサージを取り入れることで改善したケース
病院を紹介し、薬を併用したことで改善したケース
感覚が鈍いところに刺激を入れることで改善したケース
などを経験しています。
06.病院受診を勧めた事例の紹介
症状をお聞かせいただき、みさせていただいた段階で医療機関を受診した方が良いと判断した時は病院への受診をおすすめしております。
これまでしびれに関連した症状で病院受診をおすすめしたケースは
・膀胱の症状(若年であるのに時に失禁がある)が出ているしびれ(ヘルニアと判明)
・足の脱力が出ている両足のしびれ(脊柱管狭窄と判明)
・首の動きで悪化する首から肩、背中、腕の広範囲のしびれ(頸椎ヘルニアと判明して手術へ)
上記のようなものがあります。
しびれに関連する症状で病院をお勧めするケース
・全身に広範囲にしびれが起こっている
・手足に力が入らないなど運動のマヒが起きている
・膀胱や直腸の症状、尿失禁や便失禁、おしっこが出ないなどの症状がある
など
神経に関連する症状は重大な病気の可能性があるので、上記のような症状がみられる時は安易な判断は行わず専門医を紹介させていただいております。