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広島市中区袋町|理学療法士による施術と運動療法【フィジオ】

五十肩

五十肩

五十肩

目次

01.五十肩について

 

50代の方を中心に肩の痛みや動かしにくさが出てくることを、一般的に五十肩と呼び、病院でも「この痛みは五十肩ですね」と説明されたりましますが、五十肩という名称は医学用語ではありません。正式な診断名は(医師によって少し変わりますが)「肩関節周囲炎」と言います。

 

似たような病名に40代で起こりやすい四十肩というのもありますが、これも同様で「肩関節周囲炎」に含まれます。

この病名は非常に便利です。「肩関節(の)周囲(にある筋肉や靭帯に)炎(症が起きている)」ということですので、50代の痛みも40代の痛みも、転んで手をついて肩が痛い20代も、野球で投げすぎて肩が痛くなった10代のピッチャーも、「肩関節周囲炎」と診断されることがあります。(医師によっては「腱板炎」、「インピンメント症候群」、「外傷性肩関節周囲炎」など診断名を細かく使い分ける方もおられます)

 

ですので、病院で「肩関節周囲炎」と言われて、家に帰ってネットで病名を調べてみても、そもそもあらゆる症状の方が同じ病名になっているので、原因や対処法、治療の方法などネットに書いてあることはバラバラです。

 

ここでは肩関節周囲炎を

①50代に起こりやすい
②40代に起こりやすい
③その他

 

大きくこの3つに分けて原因や症状を紹介します。
 

02.五十肩(肩関節周囲炎)の3つのタイプ

 

では3つのタイプです

 

①50代に多いタイプ
50代でよくみられる肩関節周囲炎に「凍結肩」といわれる症状があります。これは最初は痛いながら動いていた関節が徐々に痛みは改善して代わりに硬くなってくる。やがて関節が溶けるようにその硬さが取れてくる。このように痛みによって肩の関節が固まってくるような変化を起こします。

リハビリの教科書では「いわゆる五十肩(凍結肩)」などのように書いてあり、50代に発症する五十肩というとこの凍結肩を示すことがほとんどです。

 

凍結肩は原因がはっきりしません。男女の更年期に発症しやすいことからホルモンのバランスの影響があると言われていたり、糖尿病や喫煙など細かい血管や神経を傷つけることから発生すると言われていますがまだ原因は特定されていません。

肩が固まり始めて、完全に固まって、やがて溶ける、これに合わせて徐々に改善してきますが、改善までの期間は半年〜2年と個人差が大きいです。

レントゲンやMRIには何も映らないので「異常ないですね。五十肩です」と診断されることが多いです。

 

②40代に多いタイプ
年齢的に近いので40代の肩の痛みであっても五十肩(凍結肩)とされることがありますが、少し症状が違います。

40代の肩の痛みは動きの硬さよりも痛みが主になります。もちろん痛みで動かすことが難しいので、肩の動きにくさはありますが、50代に多くみられる凍結肩の制限とは明らかに違います。凍結肩はあらゆる方向に動きの硬さがでますが、四十肩の場合は痛い動きと痛くない動きで関節の動く範囲が大きく違います。
 
痛みの出方や痛みの具合は投げすぎたピッチャーの肩の痛みに近いものがあります。

痛みの原因は肩の筋肉の炎症や石灰の沈着です。丁寧にみてくれる病院ならば、レントゲンとMRIで細かくみてくれます。ただし、痛みの原因は肩の筋肉ですが、こういったケースの場合、肩甲骨の動きにくさや背骨の動きの硬さ、仕事や家事で肩に無理をさせていることがあり、その負担がつもりに積もって傷めてしまうケースがほとんどなので、痛みある筋肉だけを治療しても効果は十分ではありません。
 
ピッチャーが投げる球数を制限したり、フォームを改善していくように、日常生活や仕事の姿勢などを改善させたり、別のやり方を使って同じ動き方の負担が集中しないような工夫も必要です。

レントゲンでは何も映らないことが多いので「レントゲンでは異常はないです」と言われます。筋肉の炎症はMRIで映るので細かくみる医師はMRIでさらに詳しく検査しますが、それをしない場合「四十肩ですね」で片付けられることがあります。

 

③その他
肩の「腱板」と言われる筋肉が切れたり、関節の周りの軟骨が剥がれたり、骨に傷が入ったりした時も強い痛みや動きにくさが出てきます。骨に異常があればレントゲンに、筋肉や軟骨の傷であればMRIに映りますが、検査されなかったり、検査をしても見落とされた場合に「肩関節周囲炎」として片付けられたります。
こういうケガは年齢に関係なく起こりますが、多くの場合、転倒して手をついた、強い力で捻ったり引っ張られたりした、肩を打ちつけたなどケガの心当たりがあります。

 

以上、大まかですが「肩関節周囲炎」を大まかに3つに分けました。
2つ目と3つ目は細かく診断する医師であれば、詳しく検査をしてそれぞれ別の診断名をつけることがあります。

ポイントは「レントゲンには異常はない」から「肩関節周囲炎」という診断はあてにならないというところです。

 

03.五十肩は放っておいて治るのか?

 

五十肩については
・どういう病気なのか
・どういうタイプがあるのか

 

これによって対処法が異なります。

五十肩の中でも一番典型的な50代に多いタイプについては、「放っておいたら自然に治る」ということをよく聞きます。

多くは、会社の先輩や近所のお婆さんなど、自分より年上の人が自身の体験からアドバイスしてくれるようで、「私もそうだったけど、しばらく放っておいたら自然と治ったよ」
というものです。
 
凍結肩の場合、最初は痛みが強く、次に痛みが減りながら硬さが気になり、やがて硬さも改善してくる
という変化をたどります。

これは何かで早まることはなさそうです。(一部の病院では関節の動きを改善する手術なども行われます)

変化は自然に任せていくことになりますので、確かに「放っておけば」痛みや硬さは改善していきます。

 

ただし、注意点が2つあります。
①自然に任せた場合、関節の硬さが後遺症として残りやすい
②筋肉や軟骨に傷がついているなど、凍結肩でなかった場合、いくら待っても改善しない

 

①に関しては「自然に治ったよ」という方の腕の動きを見せてもらうとわかります。おそらく思ったより硬さが残っているはずです。もう片方の肩が五十肩をやったことがなければ比べてみると一目瞭然です。明らかに左右差がみられます。
こういった後遺症を残さないためには、関節の痛みや硬さが取れていくのに合わせて、痛くないギリギリまで関節のストレッチを行なってできるだけ動く範囲を大きくしながら進めていくことが必要です。

 

②はもっと重篤です。「よくある五十肩だと思ったら、肩の筋肉が切れていた」病院で見落とされたケースもよくありますが、同じくらい自己判断の時に起こるケースです。凍結肩の場合、個人差はありますが3ヶ月くらいで少しずつ痛みや硬さは改善してくるのがほとんどなので、3ヶ月以上変化ない場合は、詳しくみてくれる病院で検査の必要があると考えます。

 

04.五十肩の解決法

 

五十肩については
・どういう病気なのか
・どういうタイプがあるのか

これによって対処法が異なります。
 

五十肩はタイプによって解決の戦略が大きく変わります。

 

50代に多い凍結肩タイプ

・痛みが強い時期なのか
・硬さが強い時期なのか
・溶けてきている時期なのか
ここを見極めていくことが重要です。

 

主には施術になります
痛みを出して無理に動かすと体の防御反応から逆に硬くなりやすいので、痛みがないように行うのが重要です。
解決までには時間がかかることを理解してもらうのが重要です。
信頼できる病院が近くにあるなら、一定期間は病院のリハビリをお勧めします。

 

40代に多いタイプ
痛みそのものの改善は施術を行いますが、ポイントになるのはそこに負担をかけた体のくせや動きのクセの修正です。
肩甲骨の動きの改善や背骨の動きの改善、正しい動きをクセづける運動療法などを行い。痛くならない動かし方を獲得するのが目的になります。
 
その他のタイプ
何が痛みの原因になっているか特定することが重要です。場合によっては病院への受診を勧めます。
病院では原因がはっきりしているがこれまでのリハビリでは改善しない場合は、姿勢のチェック、肩や周辺の関節の動き、筋肉の働きを評価してこれまで手をつけていないところはないか?見落としていることはないか?を考察しながら進めていきます。  

 

05.病院受診を勧めた事例の紹介

 

症状をお聞かせいただき、みさせていただいた段階で医療機関を受診した方が良いと判断した時は病院への受診をおすすめしております。これまで肩に関連した症状で病院受診をおすすめしたケースは
 
・バレーボールの後で肩の痛みと腕の痺れ、手が上がらなくなった(腱板の損傷と判明)
・五十肩といわれて痛み止めの注射を打ったが改善しない(腱板の損傷と判明)
・痛みがあったのでネットを見て保冷剤で冷やした(凍傷を起こしており皮膚科を受診)
・肩の痛み、腕のだるさ、指が動かしにくい(首の神経の症状と判明)
 
上記のようなものがあります。

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